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自責で考えるということ4

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 コーチングにおいて最も重要な態度の一つは、クライアントに対する全面的な承認と肯定です。クライアントが存在するというそのこと自体を肯定的に受け止め、クライアントを唯一無二の存在として捉えるのです。こういう態度がベースにあることでクライアントがコーチを信頼し、心を開き、気づきを促して、新たな行動を起こすことができるのです。したがってクライアントの「全面肯定」をベースに「自責」で考えることを促します。今日はこの「肯定」と「自責」との関係を考えます。

 さて、ここでクライアントを中心とした世界観を考えてみます。4つの同心円を思い浮かべてください。一番真ん中の円にクライアントその人自身がいます。これが「自己」です。その回りが「信念」で、その回りが「能力」、さらにその回りが「行動」、そして4つの同心円の外側が「環境」になります。これらの同心円の一般名を仮に階層と呼びましょう。なおこれらの階層の個々の名称(定義)はいくつかのバリエーションが考えられるかもしれません、ここではあるコーチングの本を参考としました。

 クライアントの存在を「肯定」するということは、中心階層の「自己」を肯定するということです。そして不都合な現象が発生した場合に「自責」で捉えるとは、一番外側にある「環境」に原因を求めず、その内側の階層に入っていくということです。しかし中心階層の「自己」に近づけば近づくほど、クライアントの存在の否定に近くなりますから、内側の階層への入り込み方の深さが重要なポイントになります。「行動」のレベルで止めるのか、「能力」のレベルで止めるのか、あるいは「信念」まで深く入る必要があるのかは、それぞれの状況とクライアントの性格などを総合的に考慮して決める必要があります。中心階層の「自己」は核となっている面積の小さな部分ですから、この一部でも否定すると、その大部分を否定することになります。外部に行くほど、その階層の面積が広くなりますので、否定してもその階層の一部分を否定したことにしかなりません。その階層の否定された以外の大部分はそのままです。あるいはその部分は肯定することもできます。それゆえに反省を受け入れやすく、改めやすいということになります。

 中心に近い階層は反省して改めようと思っても、それは困難なことが多いのです。この部分は逆に持ち味や個性として尊重し、むしろ伸ばし、活かす方向で考えましょう。
by atanabe-coach | 2007-06-28 01:00
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