ヨーロッパの人々の仕事の仕方

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 筆者は中国や東南アジアへの出張経験は多くありますが、ヨーロッパはあまりありません。先日ザルツブルグに行ったとき、現地の人たちの優雅な仕事ぶりに驚きました。金曜は半ドン(なんと懐かしい響き、筆者の子供のころは学校も会社も土曜日半ドンが当たり前でした。)で週4.5日労働が正規の労働時間です。商店街も夕方には閉まり、金曜日、土曜日の午後も閉まって、日曜日は開けないと、現地の方が言っていました。企業のオフィスでもあまり残業する人はいません。深夜や正月にも開店する日本のショッピングセンターや夜遅くまで残業する日本の企業とは雲泥の差です。日本の情景を見慣れた目からは大変優雅に見えると同時に、よくこれで商売が回っていくものだとの驚きを禁じえません。

 思いますに、まず休みにはきちんと休むもの、商店も極力開けないという共通の認識があるものと思われます。したがって、休みも開けて売上げを増やすという発想自体がないでしょうし、ひょっとしたら社会通念に反する行為なのかもしれません。商店の従業員にとっても休みに接客することには抵抗があり、また賃金割増しも大変高くてペイしないのかもしれません。そうはいうもののレストランだけは開いていますので、その業界だけは異なる慣習が支配しているのでしょう。(特に夏季シーズンは遅くまで明るいため、平日でも仕事が終わるとオープンエアのレストランでゆっくりと食事をしたりします。)

 以前ドイツの企業を訪問したときもそうでしたが、彼らのオフィスには、あまり書類が見当たりません。また彼らはあまりバタバタと仕事をしません。日本の会社でよく診られる光景は、社内の意思決定のための会議がしょっちゅうあり、そのための事前調整、資料つくりなどに精力を使うということがあります。一方彼らはそれぞれが専門分野のプロとして責任をもって働き、彼らの意思が結構会社の内部に通るように見受けられます。また筆者の訪問した企業は皆ERPソフトを導入しており、受注、生産計画、生産実績、品質管理、出荷管理情報等が全てサーバーに保管されており、現場で随時参照できるようになっていました。紙で情報を持つということが本当にないようです。またその効果として、業務の標準化も高度に進んでおり、ある面では機械的に業務を進められると思われます。

 さらに日本では消費者保護が過度に進んだ点も目立つようになり、過保護にもなっているように見受けられます。そのため企業は自己防衛もあって、さまざまなことに気を使っています。一方欧米では基本的に自己責任という考え方が強くあり、企業側はある程度のところで消費者への配慮に線引きしているようです。消費者側もそれは支持している。しかし環境保護などの面では日本より先進的な対応をとるなど、非常にメリハリな行動をとっているように見えます。

 さて、平成18年版労働経済白書では、2003年の製造業生産労働者の年間総実労働時間の国際比較が掲載されていて、日本の1975時間(中小企業の方々からはこんなもんじゃないよという声が聞こえてきそうです)に対してアメリカは1929時間、イギリスは1888時間とほぼ同等、フランスは1538時間でドイツは1525時間となっています。オーストリアのデータは見当たりませんでしたが、別の統計を見るとドイツよりやや多いように見えました。1600時間がどのくらいかというと、年間52週で割って、平均集30.8時間ということになります。週5日働くとすると平均1日6.15時間の労働時間となりますから、優雅な働き方になります。夏季休暇も交代でたっぷりととります。

 少ない時間で、国際的な経済競争力が持てるのか、維持できるのかと心配になりますが、筆者はその原因として次のような仮設を考えて見ました。
①あくせく働かないできちんと休もうよ、という社会通念があり、それに則った競争ルールが市場を支配しており、過当競争にならない。
②社内調整などに精力を割かずともよいし、仕事が効率よく進められる様な企業経営の基盤がある。
③過保護なまでの消費者保護はやらない。しかし環境保護などでは先進的な対応をとるなど、企業活動にメリハリをつけている。
④以上のような社会の仕組みの中で、全体としての生産性が高く維持されながら経済が回っている。

 筆者は経済学や労働経済のことはよく分かりませんので、あくまで個人的な感想レベルですが、他の視点があればご教示いただければうれしいです。なお、フランスでは、労働時間を延ばす方向の動きもあるようです。

 それにしても、優雅な仕事ぶりが大変うらやましく思えました。本当にクリエイティブなことに精力を使えればモチベーションも高揚すると思います。

<写真はサンクトペーター教会内の壁面の宗教画(ザルツブルグ)>
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by atanabe-coach | 2007-07-31 00:22
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