書評:熱湯経営「大組織病」に勝つ

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 本日は書評を掲載します。その本は

熱湯経営「大組織病」に勝つ  樋口武雄著
文春新書 定価700円+税

 大和ハウス会長の樋口武雄氏の半生の自叙伝である。冒頭から読み出してすぐに、著者の仕事にかける人並みならないパワーに圧倒される。戦後に大和ハウスを一代で興した石橋信夫オーナーから、大和ハウスのお荷物であった累積赤字、売上げの2倍の有利子負債を抱えた関連会社の建て直しを命じられる場面から始まる。そして最初には知らされなかった連帯保証をめぐる騒動でさらなるピンチにさらされる、それをオーナーに訴えてもそれはお前の仕事だと一蹴される、その後体をはって関連会社の建て直しに成功する・・・。

 大和ハウスに30代で入社した著者は、石橋オーナーから見込まれて、様々な困難なテストを受けさせられそれをクリアしていったのである。ほんとうに血反吐を吐きながら仕事にかけたという半生である。オーナーは早くから著者に目をつけ、いつかこいつを社長にしようと思っていたのであろう。著者はそのテストに合格し、本社の社長として呼び戻され、さらに大和ハウスを発展させる。そしてバブルの付けの高額の特損処理を機に、社長を降りて会長となる。このような超牽引型のリーダーによって今日の大和ハウスがあるのである。本文中に何度かでてくるのであるが、会社の経営を熱湯経営(実力主義、働くものに光を当てる経営というような意味で使われている)にしたら、社風が変わり、業績もあがったというのである。このあたりはぜひ本書をよんでその迫力に触れてほしい。

 著者を育てた石橋オーナーは、さらに大物に描かれている。著者が人生の師と仰ぐ人であり、背中で著者に帝王学を授けた人である。最後は病床から筆者にあれこれと会社の経営方針に指図をしており、著者はこれに必死で答えて行っている。超々大物の師にして超大物の著者があるのである。二人が仕事にかける意気込みにはすさまじいものがある。

 個々人の人権が尊重され、多様な生き方が認められる現在では、このようなモーレツな人たちはもう絶滅の危機に瀕する希少動物(失礼)であるように思う。反面、経営の本質はたぎるような情熱が根底にないと成り立たないのだという思いも強くした。やわな私にはとてもマネできるような生き方ではないけれど、元気がもらえる本である。願わくは著者が残した大和ハウス経営のDNAがどのように受け継がれていくのか、何年かたった後に続編が読みたいものである。


この書評はamazonにも投稿しました。
いつもは文体をや文章を少し変えていますが、本日は時間の関係から、amazonと同文を掲載しました。そのためいつもと文体が違っています。



<写真はウミウシの1種。冠のように見えるのはエラです。美しいです。 @ナブコ インドネシア>
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by atanabe-coach | 2007-11-26 01:21
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