上司がんばれ 部下と向きあうコミュニケーションのヒント 第21回:怒るのではない

f0142717_1585172.jpg

 現在の上司はプレイングマネージャーが多いと思います。短期的業績目標達成を求められる状況の中で、部下の育成という観点での行動が抜けていたりまたそれ自体に気がついていない上司も方もおられるように見えます。部下を育て、頼もしい人材にするために、上司に求められる行動要件をまとめてみました。連載でお送りします。
───────────────────────────────
第21回:怒るのではない

 昨日の叱るに関連して、「怒る」と「叱る」ということの違いを考えてみます。「怒る」とは自分の怒りの感情を相手にぶつけて発散させることです。相手の理解、共感を得るという観点は抜け落ちています。相手より自分の心をスッキリさせることがその効果として期待されます。一方「叱る」は相手が変わることを期待して言い聞かせることで、自分の感情はむしろ抑えているという状態でしょう。

 怒る上司も、理屈上はこの違いは分かると思います。しかし長年の自分のスタイルの中では、部下の指導=部下を怒る、ということでやってこられた方もおられると思います。またこの違いを知識として知っていても、その場面になると感情が先に出て怒ってしまうという方も多いと思います。叱るということは、かなり意識的にやらないとできないことのように思われます。


 怒る上司の典型的なパターンをいくつか上げてみます。
①怒鳴る、大きな声でしゃべる
②原因となった事象について、部下の悪いところをあげつらう。
③今回の事象に関係ない過去のことまで持ち出して、部下を責める
④なかには部下の人格、性格、習慣までを批判する人もいる
⑤上司の価値観、考え方をどどっとしゃべる
⑥部下の話は聞かない、聞こうとしない

などがあるでしょう。なお、⑤、⑥は怒っていない平時でも、良く見られる光景です。これが過ぎると、部下に対してよい影響を与えませんので要注意、ちょっとご自分を振り返って見られることをお勧めします。

 さてここで考えていただきたいことは、上のような状況で、部下はどう感じているかということです。最初は聞いていたとしても、いろいろ言われる中で、物理的に上司の声は聞こえても、頭では聞いていないという状態になるでしょう。ひたすら上司に怒られそれが辛かったという体験だけが残るでしょう。根性のある部下ならそれから這い上がって、自分で立ち直り、不足した点を改善していくという行動もとれるでしょう。しかし並の人間なら負の体験として残るだけです。そんな根性なしはいらん、といってもそういう人材を活用していかなければならないのが会社なのです。ましてや「お前はダメだ、役立たず」とか「給料泥棒」などと人格や存在を否定するような言葉を投げかけたとしたら、それは何を期待して投げかけているのでしょうか。このような言葉に対して部下が発奮するはずがありません。怒られる部下の立場に立ってみれば明らかなことです。

 いくら話しかけても、心が開かれておらず、頭では聞いていない、聞き入れていないという状態を「レセプター(受容器)が開かれていない」といいます。人に話しを聞いて理解してもらうには、レセプターを開かせる必要があり、そのためには「ラポール(信頼関係)を築く」ことがまず最初に必要になります。上に記載した、①~⑥の怒る上司の典型的パターンに対しては、実はラポールがぜんぜん築かれていないということが容易に想像できます。部下によろしくない事実を指摘し、反省を促し、考えを変え、行動を改めさせるには、まずラポールを築き、レセプターを開かせること、そしてその上で感情を抑えた対話をすることが必要になります。

 怒る部下指導というものは全く意味を持たないのです。
───────────────────────────────
 このブログ、お気に入っていただけましたら、お友達や上司・同僚・部下の方にも教えてあげて下さい。多くの方に読んでいただけると、筆者の励みにもなります。
───────────────────────────────
<写真:昨日分の写真にみえる木のような島の近くに行って見ました。この細い部分をけり倒したい衝動に駆られました。トゥーッ  ナブコ@インドネシア>
[PR]
by atanabe-coach | 2007-12-27 02:07
←menu