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外国語の通訳

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 本日は、ヨーロッパのメーカーからの出張者とその商品を取り扱っている日本の商社の方が、クライアント企業さんを訪問し、打合せをする現場に同席しました。メーカー出張者は英語で話し、商社さんが通訳します。筆者も少しは英語がしゃべれますので、通訳なしで理解はでき、メーカーさんの英語と商社さんの日本語を対比して聞くことができました。
 さて、この商社さんの英語と通訳はがすばらしいものでした。彼の通訳スタイルは次のような感じです。

1.商社さんの英語自体が洗練されています。彼はTOEICでかなり高い点をとるのだそうです。英語が好きで好きでいつも英語を聞いているのだそうです。

2.クライアント企業さんの日本語の発言を、相手に英語で伝える場合:全てそのまま直訳することはありません。いまの発言で伝えたい核の部分はしっかり訳しますが、他の細部は意図的に通訳しません。また日本人特有の論理からくる発言については、こちら側に、(そのように言っても彼らが理解しにくいだろうから)このように伝えてもいいですか、と断った上で少し違った表現にして通訳します。

3.メーカーの英語の発言を、クライアント企業さんに日本語で伝える場合:メーカー側の発言が欧米人特有の割り切りからきた発言であり、日本人には受入がたい内容であったケースがありました。商社さんは、全然別の意味の日本語で通訳してきました。これは我々にはもちろん断らずにです。要はごまかしたのですが、これがすごく自然で聞いていて感心しました。確かにこの部分を正直に通訳すると揉めるだけであり、かといって講義して先方の考え方が撤回されるとかいうことは期待できないものでした。商売そのものにも影響を与えませんので、知らないことにしておいた方がよいと思えました。

 外国人とは言語だけでなく、文化や考え方が異なります。そのような相手とコミュニケーションをとるにはそのまま直訳することは効果的ではありません。本日の商社さんの特徴を整理すると
①伝えるべきこと、伝えなくてもいいこと、伝えるべきでないこと、の3つを選別する。
②伝えるべきことを、日本語の文のとおりではなく、言い回しを工夫しながら通訳する。
③洗練された発音とイントネーションの英語で発声する。

このうち③は英語力そのものの問題ですが、多少レベルが低くてもコミュニケーションには支障ないものと考えられます。重要なのは①と②であり、とくに①はビジネスセンスが大いに関与してきます。通訳はかくあるべしという見本でした。

筆者も時々英語での打合せを行うことがあります。日本語で考えて英語に直すというレベルは脱しており、アイデアを直接英語で表現してはいますが、アイデアのベースがまだ日本語になっているらしく、①がまだまだできていないと思います。発音やイントネーションも自信があるものであはりません。しかしながら、それでもコミュニケーションをとろうとする努力自体が大切ですので、ここはひるむつもりはありません。ただ、まだまだだなと痛感した1日でした。
by atanabe-coach | 2007-07-06 01:29
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